大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和29(あ)2329 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告人三名の各上告趣意、弁護人杉村逸楼の上告趣意(補充書を含む。)は、末

尾添附別紙記載のとおりである。

被告人らの上告趣意は、自白或は証言の任意性を争い、また証人尋問の機会を与

えられなかつたと主張して違憲を論じ、その他事実誤認、審理不尽を主張するので

ある。

しかし、司法警察職員によるこれら供述の強制は記録上これを認めることができ

ないから、これが検察官の取調に影響し、検察官に対するこれら供述が任意性がな

い疑があるとは認められない。従つてこれら供述調書を証拠として挙示した被告人

A、Bに対する第一審判決、被告人Cに対する原判決が憲法三八条に違反するとの

論旨はその前提を欠く(憲法三九条違反をいう点もあるが同条はかかる場合に関係

はない。)。また証人尋問の機会を与えられなかつたことについても、被告人らは

当時勾留中であり、検証現場附近における証人尋問に立ち会わなかつたことは記録

上明らかであるが、右証人尋問の日時、場所は被告人ら及び弁護人に通知されてお

り、その意に反して立会の機会を拒否された事跡は認められず、却つて弁護人は右

各証人尋問に立ち会い反対尋問をし、被告人らの不立会につき何らの異議も述べず、

また右各証人尋問調書の証拠調に際しても被告人ら、弁護人とも何らの異議を述べ

なかつたことが明らかであるので所論憲法三七条二項(三六条とあるのは誤記と認

められる。)に反するものでないことも明らかである(昭和二三年(れ)一〇五四

号同年九月二二日大法廷判決、昭和二六年(あ)二三九〇号同二八年三月一三日第

二小法廷判決等)。その他の論旨は、第一審判決又は原判決の証拠の取捨選択、証

拠の証明力の程度を争う事実誤認審理不尽の主張であつて上告適法の理由にならな

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い。

弁護人杉村逸楼の上告趣意は証拠の証明力の程度を争つて事実誤認を主張し、ま

た第一審判決及び原判決の挙示した証拠が証明力のないことを前提として自白だけ

で事実を認定したと非難し、その他自白の任意性欠如を主張するものであるが、証

拠の取捨選択は事実審裁判所の裁量であつて違憲論は前提を欠き、また自白が任意

性のない疑のないことも被告人らの上告趣意について判断したとおりで論旨は理由

のないところである。

その他記録を調べても刑訴四一一条に該当するとは認められない。よつて刑訴四

〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和二九年一〇月一二日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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